終活

不思議な体験『虫の知らせ』 

これは私が小学校3年のとき実際に体験した出来事です。

当時私は父、母、3つ年の離れた兄、それから1頭雑種の犬と、庭つきの一軒家に住んでおりました。

その家は母方の祖母から譲り受けた土地に建てたもので、南へ10分歩くと大学病院に、東へ15分ほど行くと墓地に行きます。大学には県道沿いに歩いて行けます。その途中に教会があります。

今でこそ住宅が並んでいますが、このころは周囲に雑木林や空き地が多くて、子供だった頃の私は林で秘密基地を作ったり、竹にたまった水を飲んだり、空き地にいる虫をつかまえて毎日遊んだものです。

そんなときは大人たちに野良犬やマムシが雑木林にいるから気をつけろと言われていました。


家にいたかわいい雌の雑種犬の名前はアイといいます。

アイは私が生まれる前から母の実家で飼われていたのですが、祖母があまり動物を好きでなかったため今の家が建ったタイミングで移り住みました。基本的に庭で放し飼いされていました。

性格はとっても人懐っこく穏やか(怒るのを見たことがない)、顔立ちはタヌキ顔、長毛、手足は長めでした。

近所の人も皆かわいがってくれていましたし、家族全員は当然大好きでした。

でも不幸は突然やってくるものです。

1月13日の朝、私は小学校へ自分の班に混ざっていつも通り登校しました。兄は何かの理由で遅刻したので別々に登校しました。

学校で兄に遭遇することはあまりないのですが、その日の昼頃、階段の渡り廊下でめずらしく兄にすれ違いました。

そのとき兄は私に向かって一言こう言いました。

「あまり悲しむなよ」

普段はどちらかというと直接的な表現でものをいう兄が急に妙なタイミングとテンションで言ってきたものだから、

私は
(家で何かあったに違いない…)
と思いました。

そして下校時間になり、足早に家に向かう際の不吉な予感から、いつも一緒に帰っていた親友にむかって私は何となく

「アイちゃんが死んじゃったのかもしれない」

と言いました。

アイちゃんはその日の朝もいつもと様子に変わりなく、見送ってくれたのに。

この時は理由もなくそう感じたのです。

親友と別れたのち、走って家に帰りました。

すると、玄関の門を通り階段を5段ほど上がった先に見た光景は、

いまでも忘れられないです。

横たわり、硬くなって動かないアイちゃんの亡骸でした。

口には乾いた黒ずんだ血が付着していました。

私は瞬間的に涙でいっぱいになりました。(思い出すだけでも今でも涙がにじんできます)

家には母がおりました。

交通事故で即死だったということ、隣に住んでいる大学の先生が散歩中に教会の前の県道に倒れているのを見つけてくれたこと、母が庭の鍵を閉め忘れてしまったことを教えてくれました。

この時、小さい私にとってあまりにショックだったため、兄弟そろって習い事を休み、家族全員で一晩中泣き続けたことを覚えています。

神に祈りを捧げたことも覚えています。このことを後日、日記に書いたことで担任の先生に呼ばれて慰められたことも覚えています。(その時の先生には感謝しています)

その時の体験を数日後冷静に振り返ったとき、兄が私に言った言葉だけで、なぜ健康であった愛犬の死を感じ取れたのか、不思議でなりません。

それが虫の知らせってことなのかもしれません。

追記

私はこれからも獣医師として、少しでも飼い主たちが自分のペットの最期に対して後悔しないようにサポートしていきたいです。

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