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【基礎】両後肢が不自由な大型犬はこう飼育する!

飼育しているペットが現在、後肢をうまく使えていない。

中でも、うんちやおしっこに自分で行けなくなったり、垂れ流しで介護を必要とする大型犬を飼育している方。

非常に大変な思いをされているでしょう。動物の介護は人の介護に匹敵するレベルで大変なことだと思います。

今回はそんな飼い主様にとって、極力負担の少ない介護の方法を現役獣医師 兼 飼い主の私が解説します。

目次

大型犬の介護を難しいと感じる点

ここでは大型犬とは20キロ以上の犬を指し、ボルゾイ、レトリーバー、ハウンド、ジャイアントプードル、シェパード、一部の肥満体系の中型犬などがあげられます。

そもそも、なぜ介護が大変なのか一旦確認しましょう。

支えながらの排便補助・トイレ交換などで体力がとられる

一つ目は、動けない子を支えて立たせる▶トイレに行く▶手足の毛を汚すので綺麗にする▶乾かす、最低でもこれを毎日2回は繰り返す、という苦労。自力で排便できない子は、のちほど説明しますが膀胱や肛門周りをマッサージする必要があり、女性や小さいお子さんにとって、とても一人ではできません。
少しでも力を抜くと倒れこみ、そんなときは体力と気合と根性が飼い主に備わっていることが最も肝心といえるでしょう。

ボルゾイ体型もラブラドール体型も辛い

ボルゾイの体型は、とくに走ることに特化しているため、馬のように長い脚、平たい(厚みの薄い)体、鼻先からお尻まで細長い流線形をしています。基本、ヨタヨタと足取りがおぼつかず、不安定に歩くので、これは介護する側にとってかなりやりずらいです。極端にいうと同じ体重でも樽型のブルドッグのほうが支えやすいのは何となくわかりますよね。体重は大きいと50キロくらいです。

ラブラドール・レトリーバー



一方、ラブラドールの体型は戦車のように、でっぷりとしたお腹にずっしりと大きい頭、短めの首が特徴です。後肢が不自由だと、後ろに重心が移り、座り込んでしまうことが多いでしょう。体重は30キロ越えが普通です。

いずれの場合もシーソーのようにバランスをとり、ある程度は前足で支えさせる必要があります。

日本ではペット用の介護サービスなどが発達していない

海外ではすでにペットシッターという、ペット用の介護サービスが存在していますが、日本にはありません。老犬の介護以外に、仕事や家事をこなさなければならない方が大多数でしょう。日本で大型犬の飼育頭数が海外と比べて少ないことも理由の一つであると思いますが、そのような現状で周囲の人々の協力をうまく得られない方もたくさんいらっしゃいますよね。

ではここから実践的な話に移ります。

介護法 【起立・歩行編】

ポイントは、腰を曲げて大型犬を支えないよう注意すること

介助者の腰まで壊れてしまったらいけません。

①タオル吊るし法

タオル吊るし法は、下腹部にタオルを回して介助者がタオルで下半身を吊り上げながら、ペット自身に前足を使って立ってもらう方法です。
これにより、簡単な移動やおトイレは行うことができます。

デメリットは持ち上げる力がペットの体重の半分ほど必要であることでしょう。最大で20キロほどを支える必要があり、犬がバランスを崩せば一気に追加の負荷がかかります。筆者の使っているダンベルが片腕でおよそ30キロくらいですが、急にそれを渡されたなら、鍛えていてもよほどでなければ体勢を崩されてしまうでしょう。

イラストの持ち方はあまりよくないでしょう。介助者の手首、腰、首の腱や筋肉に負荷がかかり早くに炎症をもたらします。

このように自然に腕を下す感じでタオルを犬の下腹部に回すとよいでしょう。オスはおちんちんがタオルに重ならないように注意しましょう。

②大型犬用の車椅子 

現在は犬用の車いすが最近流通する良い時代になってきました。

後ろ足が全く動かない疾患にも対応できるように開発されていて、病院でも紹介していたり、個人でもウェブから入手できます。

私も自分のペットが歩けなくなったころにはきっと購入させていただくと思います。

こちらは犬用車いすでおすすめの【はな工房】様のサイトです。ユーザーからのうれしい実感のこもった感想がみられて非常にありがたいですね。サイトも見やすく、車いすを使った動画もより実際の使用感が伝わってきます。購入するハードルが高い方向けにレンタルも行っているようですよ。以下にリンクを貼らせていただきます。
製品紹介|犬用車椅子・歩行器の【はな工房】|全国対応可 (hana-kobo.jp)

介護法 【排尿編】

圧迫排尿とは?

おしっこを貯蔵する臓器を膀胱といいます。膀胱の機能として、ある程度尿がたまったら排尿反射で尿を締め出します。しかし老化や神経麻痺により神経が弱っているとき、膀胱の動きは弱まるので、なかなか出が悪くなります。

おしっこが出ないとどうなるでしょうか。
膀胱の炎症、排泄されるべき尿毒素やミネラルの濃度が異常に血液中で高まることで、元気がなくなります。

このため必要になるのは【圧迫排尿法】です。

膀胱を外側から圧して(優しくつぶすイメージ)、これによって膀胱と脳に排尿を始める合図を送ります。最初の出始めは圧迫しながらすこし時間がかかりますが、慣れると1分くらいで尿が出始めます。いざ出始めると、膀胱内の尿の圧力に従って尿がジョジョーっと出てきてくれます。

起立状態下での圧迫排尿

続いて、より実践的な方法ですが、立たせながら極力おしっこを回避つつ、圧迫排尿をおこないたいときはどうすれば良いでしょうか?

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